週刊あはきワールド 2021年11月3日号 No.736

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.89-1

生理痛に対する鍼灸治療(1)

~生理痛の東洋医学的な背景やその発生のメカニズムから見た生理痛~

くすえだ鍼灸院 黒田俊吉 


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1.生理と月経

 生理痛とは、月経困難症の中に含まれる症状とされています。正式には月経痛というのが正しいと言えるでしょう。

 何故かというと、医学的には1872年に出版された『医語類聚』に著者の奥山虎章が「Menses」「Menstruation」の訳として「月経」を採用したので、以後日本ではこの月経という言葉が正式な医学用語として採用されたからです。

 しかし、現代において月経のことを生理と呼ばれることの方が多いように思えるのですが、いつごろからどうしてそうなったのでしょうか。

 それは、月経痛(生理痛)が大きく関与しているのです。

 明治維新後、女性が社会進出をするようになり、男性と同等の働き方をするようになると、女性の月経、特に月経痛がある女性たちは、その分、男性よりもハンディキャップがあると訴え出しました。その運動は1920年代には形になって現れ、生理休暇獲得運動が始まりました。

 この運動に参加した女性たちは、革新的な思想を持っていたのですが、それだけではなく、まだまだ日本女性のしとやかさも兼ね備えていたと思われます。

 月経痛という女性特有の子宮からの生理的な出血と、それに付随して起こる痛みを、ダイレクトに医学用語ではあるとしても、月経という言葉を使った、月経痛とは表現したくなかったと思われます。

 月々の子宮からの出血を連想させる言葉が月経という言葉です。女性としてはあまり表に出したくない言葉です。

 この言葉をそのまま使った月経痛を、公の場で使うには感情的に抵抗があったのではないでしょうか。

 明治時代以前は、この出血のせいで、女性はけがれているとか不浄の者とか言われ、神事などに参加できなかった、女性蔑視につながる考え方が席捲していました。

 そこで生理休暇獲得運動をしていた女性活動家たちは、月経時の生理的な出血は、女性が生きていくうえで当然の現象なのだとして、月経は生理的な現象なので、生理と呼ぶようになったようです。

 そして1947年(昭和22年)4月7日に公布された「労働基準法」の第67条に「生理休暇」という制度ができ、この時以来、月経は生理と呼ばれることの方が多くなったということです。

 生理痛を鍼灸医学という観点から、学問として理解し治療法を探っていくため、表題とは違ってしまいますが、ここからは生理痛を月経痛という医学用語を使っていきたいと思います。

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