週刊あはきワールド 2021年11月17日号 No.738

全力で治す東西両医療 第57回

痹証の臨床推論

~東洋医学の証名や病名は、西洋医学的にみても大事⑧~

 (1)石川家明(2)木村朗子(3)平岡遼 


◎第56回 痹証の臨床推論
       ~五体痹と五臓痺について⑦~
       (石川家明・木村朗子・平岡遼)
◎第55回 痹証の臨床推論
       ~痹証と診断するにあたって⑥~
       (石川家明・木村朗子・平岡遼)
◎第54回 痹証の臨床推論
       ~痹証と経絡病はどこが違う?⑤~
       (石川家明・木村朗子・平岡遼)
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(1)石川家明:TOMOTOMO(友と共に学ぶ東西両医学研修の会)代表
(2)木村朗子:ともともクリニック院長
(3)平岡遼:ともともクリニックレジデント
 
 鍼灸治療を求めてくる痹証は、現代では変形性膝関節症(膝OA)が1番多いと思います。今回は膝OAである診断のコツと膝OAではないという診断のコツについて話し合いました。

■東洋医学はそもそもシステムレビュー

木村前回の鼎談の引き続きで、ご夫婦でお出でになった変形性膝関節症ですが、ご主人の方は骨痺と言っても良いが、骨痺の典型例としては、強直性脊椎炎を挙げてくださいました。先生達とここ10数年一緒に治療を始めて再確認できましたが、リウマチ性疾患は診断される前の状態の方々が非常に多いことです。単に、ここが痛いあそこが痛いで対処するだけではなく、医療面接で系統的に掘り下げた問診をしてもっと多くの情報を引き出さなくてはいけない。

石川そうですね。東洋医学では体全身を診るというシステムレビューがそのほぼ発祥の時から備わっていたのです。全身を診ることは、マルチモビディティ(Multimorbidity多疾患併存)を発見するだけではなく、一つの系としての病を見つけやすいシステムです。

木村システムレビューは現病歴や既往歴の医療面接では拾いきれなかった症状を発見する方法です。頭のてっぺんから足先まですべて質問していきます。そのための質問紙票があったりするのですけど、それはかなりの分量です。東洋医学はそもそもその傾向を持っているというわけですね。

石川天人合一思想とはそういうものだと思いますし、中国医学の陰陽思考で代表される診断方法も、その人独自の環境のなかでその人の身体を全体的に捉えようとする診断方法ですが、それにしても、中国医学の弁証法はコンパクトにまとめられている診断方法だと思います。

平岡いつぞやボランティアでの治療報告をある学会で発表したときに、すでに私たちが25年以上使っている東洋医学の問診票を、「発表のための、研究のための問診票にちがいない、質問事項が多すぎるのは怪しい、倫理に反する」としつこく責められました。そこの学会の指導者達からでしたから、唖然として閉口しました。(苦笑)

石川ああ、あれはひどかった。同じ東洋医学をやっている者同士だとは思えなかった。発表の内容はそっちのけで、私たちの医療ボランティアを「患者に押しつけている」と決めつけてかかっていましたね。
 

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