週刊あはきワールド 2021年11月24日号 No.739

あはきメンタル~臨床心理学入門編~ 第11回

一人でできるカウンセリングのトレーニング(7)

~コーチング(3)~

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


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 コーチングの成果は、行為者とコーチを結ぶ人間関係に大きく依存します。コーチは、行為者に押し付けるのでなく、行為者を見守り励ますことを基本にして、必要に応じて要所で関与を行うことが好まれるコーチの条件になることを前回、お話しました。

 手取り足取り教えるタイプの指導者は、好まれるコーチの範疇に入りにくい、ということになります。しかし、行為者を見守り励ますことを基本とする、好まれるタイプのコーチは、最初から見守り励ますコーチングをしてきたわけではありません。多くのコーチは、初心者、初級者のコーチングを経験する中で手取り足取りの指導を学んでいきます。初心者、初級者のコーチングは、手取り足取りの方が実際に好まれるからです。

 知識やスキルの十分でない行為者に、まず、「できた」「わかった」という感覚とその喜びを体験させるためには、手取り足取りの指導が不可欠です。初心者、初級者にその活動の達成感や喜びを体験してもらうことが、「好き」に繋がります。

 コーチは、指導した初心者、初級者が結果を出す(目標を達成する)と手応えややりがいを感じ、自分の指導に自信がつくので、手取り足取りの指導に傾倒していきます。ところが、この蜜月関係は長くは続きません。行為者のレベルが上がると、行為者に主体性や自我意識が芽生えてくるので、徐々にコーチの思い通りにいかなくなるのです。さらに行為者がレベルを上げると、コーチの経験の範囲を超えた活動が多くなるので、手取り足取りの指導には明らかに限界が生じます。

 では、手取り足取りの指導から行為者の主体性に任せる指導へとコーチ自身の意識を上手に変更していくにはどうしたらよいでしょうか。福島脩美氏は、コーチがヒントと任せの方法でコーチングする場合、コーチが行為者となって、自分の行動を自己調整し、自分自身をコーチする自己コーチングのスキルを身につけることが重要であると指摘しています。ここでは、コーチングスキルを高める福島氏の自己コーチングの過程を紹介したいと思います。なお、本編の内容の一部は丹澤章八監修『あはき心理学入門』(ヒューマンワールド)の第1章コラム「健康心理学」に準拠しているので、こちらもご覧ください。

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