週刊あはきワールド 2021年12月1日号 No.740

◎◎はこう治す! 私の鍼灸治療法とその症例 File.90-1

月経痛に対する円皮鍼効果の予備的研究

日本鍼灸理療専門学校・(一財)東洋医学研究所 吉川信 


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リサーチ・クエスチョン:月経痛に蠡溝(LR5)への円皮鍼固定は有効か

1.背景

 平成12年度厚生科学研究に「月経痛に関する大規模なアンケート調査」がある1)。これは10000人にアンケートを郵送し、回答が寄せられた4230人(回答率42.3%)のデータを集計したものである。それによると、月経痛がほとんどないと回答したものは21%。月経痛はあるが、日常生活はふつうに行えると回答したもの46%であり、一般女性の3人に2人は月経痛が日常生活において問題とならないという結果であった。しかし、その一方で、鎮痛剤を服用すれば日常生活がふつうに行えると回答したものは27%であったが、6%は鎮痛剤の服用にもかかわらず日常生活に支障を来たし、そのうち、3分の1の女性は月経時に寝込んでいた。月経痛のために、医療機関を受診したものは12%であった。程度の差はあれ、8割の女性は月経痛を有しており、少なくとも3割強の女性は何らかの自分での対処または医療介入が必要のようである。本岡らの文献調査2)では、月経中になんらかのセルフケアをしているものは63.3-65.7%で、そのうちマッサージを行うものが18.2-40.4%であったという。

 鍼灸臨床の場では、月経痛のセルフケアとして、三陰交(SP6)への自宅施灸等を勧めることが多いと思われる。それは古典の記載や経験などの理由によるものと思われ、吉元らの月経痛に対する疼痛緩和効果3)や遠藤らによる疼痛予防効果4)5)の報告は、三陰交単独使用の効果を検討したものであり、三陰交が月経痛に効果的であることを裏付けるものである。

 しかし、まさに今激しい月経痛を生じている患者を診てみると、三陰交よりも蠡溝を圧迫した際に疼痛の軽減・消失が得られることの方が多く、そのようなケースでは蠡溝への鍼刺激により劇的な効果を示す6)ことを経験する。

 そこで今回、急激に生じる月経痛に対して、蠡溝が有効であるかどうかを検討するため、試験的に悉皆調査を試みた。

 なお、「月経痛」は正しい医学用語ではないが、分かりやすく、しばしば医学論文にも記載がみられること、今回の研究対象を月経時の「痛み」とすることなどから、この用語を用いることにする。

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