週刊あはきワールド 2016年8月24・31日合併号 No.487

レポート…医療初学者のための医療コミュニケーション導入教育

目白大学保健医療学部「プレゼンテーション演習」

目白大学大学院心理学研究科教授 奈良雅之 


 
 鍼灸院通院患者の鍼灸治療に対する満足度を高める要因は、治療技術のほか、施術者の信頼度や訴えの理解度、尋ねやすさ等であることが指摘されています(高野ら2002)。あはき師と患者さんとの良好な関係を築くことは治療成果にプラスに作用すると考えられています(『あはき心理学入門』、第2章 医療面接とコミュニケーション)。このことは、リハビリテーション領域でも十分理解されており、養成校における「臨床心理学」の単位取得は専門科目必修となっています。

 目白大学保健医療学部では、医療従事者育成の過程で医療コミュニケーション力の強化を図るために、その他に理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科の共通科目として「プレゼンテーション演習」「コミュニケーション演習」の2科目を開設しています。

 本稿では、筆者が昨年度担当した授業科目「コミュニケーション演習」について紹介します。

1.「コミュニケーション演習」の導入

 保健医療学部の入学初年次教育では、一昨年まで、医療に直接関係のない一般的なコミュニケーションの授業として春学期に「プレゼンテーション演習」が実施されていた。一方、秋学期の「コミュニケーション演習」では医療コミュニケーション・スキルの獲得・向上をねらいとした授業が展開されてきたことから、春学期から秋学期への教育内容の連続性という点で問題があると認識された。

 そこで、平成27年度は、春学期開講の基礎教育科目「プレゼンテーション演習」において、一般的なコミュニケーション・スキルの涵養に加えて医療コミュニケーション・スキルの獲得・向上をねらいとした授業内容の導入を試みることになった。

2.「プレゼンテーション演習」の内容

 「プレゼンテーション演習」は理学療法学科1年生を対象に選択科目として春学期にクラス別に開講された。受講者はA組40名、B組46名の2クラス合計86名、当該授業の目標は、「実践的な学習を通して、言語運用能力とプレゼンテーション力を高めることにより、医療人として求められるコミュニケーション能力の基礎を身につけること」とされた。

 第1回の授業では、当該科目が日常的なコミュニケーション・スキル全般を獲得・向上させること、とくに、女性にとって不得手とされている(奈良他2014)発表・説明に関するプレゼンテーション・スキルの獲得・向上に焦点を当てた授業であることを説明した。授業内容の概要は表1に示した通りであった。各回の内容は、病院でのマナーや実習先への電話の応対、人前で発表する経験を重ねるためのスピーチ課題といった日常的なコミュニケーションおよび医療コミュニケーションの基礎的なものから、臨床実習を想定した発表、さらにはロールプレイといった応用的なものまで含んだ演習課題を段階的に設定し、能動的学習として取り組めるよう配慮して実施した。
 

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